解説コーナー ~3~
市販薬乱用
近年、手軽に入手できる市販薬を用いたオーバードーズ(過剰摂取)が増加しており、これに伴う健康被害や社会的影響が懸念されています。市販薬は、処方箋なしで購入できるため、特に若者にとってアクセスが容易です。風邪薬や咳止め薬などには、依存性のある成分が含まれていることがあり、適正な用法・用量を超えて使用されることが多くなっています。厚生労働科学研究の調査では、10代の若者の中で市販薬を乱用した経験がある者は約60人に1人という報告があります1)。
この問題を解決すべく、本年5月から施行される法律の改正に関連した用語、若者のオーバードーズ、指定濫用防止医薬品、乱用防止ゲートキーパーについて解説します。
若者のオーバードーズ
オーバードーズとは、薬物を推奨される用量を超えて摂取する行為を指します。市販薬の場合、特に精神的な効果を求めて過剰に服用することが多く、これにより幻覚や精神の興奮状態を引き起こすことがあります。若者の「いきづらさ」から解放される手段として市販薬の乱用を選ぶことが増えていると言われています。
図 全国の精神科医療施設における薬物依存症の治療を受けた10代患者の「主たる薬物」の割合2)
指定濫用防止医薬品
指定濫用防止医薬品とは、従来の「濫用等のおそれのある医薬品」に、新たに、2成分を加えた8成分が指定されます3)。
- エフェドリン
- コデイン
- ジヒドロコデイン
- ブロモバレリル尿素
- プソイドエフェドリン
- メチルエフェドリン
- デキストロメトルファン(新規追加)
- ジフェンヒドラミン(新規追加)
これらの成分を含む医薬品は、販売時に厳格な確認が求められ、特に若年者に対しては氏名や年齢の確認が義務付けられます。
乱用防止ゲートキーパー
乱用防止ゲートキーパーとは、薬剤師や登録販売者が、薬物の乱用を防ぐために重要な役割を果たすことを指しています。購入者の使用目的や過去の購入履歴、更に適正な使用がなされているかを確認する責任があります。特に、若年者が購入する際には、他店での購入状況や購入理由を確認することが求められます。
参考資料:
1) 嶋根卓也、市販薬乱用の理解とゲートキーパーとしての薬剤師、ファルマシア、60(11)、1045-49、2024.
2) 国立精神・神経医療研究センター編、「国内外における青少年の薬物使用の実態 」冊子、2021.
3) 医薬品医療機器等法施行規則第15条の2(指定濫用防止医薬品)、第147条の3(販売に関する規定)及び第149条の7(適正販売の推進)
一般社団法人 医薬品適正使用・乱用防止推進会議
副代表